先日、弊社が参加している京阪神木造住宅協議会の研修会に参加してきました。
まず、国交省や経産省、林野庁と言った国の担当官から
それぞれの政策や補助金などの説明がありました。
その後、今回の研修会に参加した理由である
堀部先生の講演がありました。
堀部先生は里山住宅博のヴァンガードハウスを
設計されて、建築学会賞も受賞された
すごい建築家であるにもかかわらず、
私達にも気さくに話かけて下さいます。
『私のパッシブデザイン』と言うタイトルで
とても深い話をして下さいました。
まず、幸せについてと言う大きなテーマから
家の役割について、ハッとするお話がありました。
『家づくりは大きな(自然)環境の中に小さな環境を作る行為』
『家はそこで暮らす人が安心で幸せになれる場所である』
と言った内容で、話された言葉そのままではないですが、
私はこのように理解しました。
さらにヒュッゲの意味について堀部先生は
- 家族や友人との時間を大切にする
- 時間の流れを意識する
- 無理をしない 見栄をはらない
- 自然を身近に感じる
- 物を大切にする
- 心地いい空間作りを心掛ける
- ミニマムに暮らす
- 手作りのぬくもりを感じる
- 仕事に縛られない
- 今あるものに感謝する
と解釈をされたそうです。
このような価値観や思想が浸透している
デンマークなどの北欧の人々が
常に幸福度ランキングで
上位にあるのもうなずけます。
さらに『ないものをねだるのではなく、あるものを活かす』
と言ったお話をされました。
その『あるもの』とは
気候や風土、自然エネルギーや歴史・文化
記憶や風景などでそれを活かす事で
幸せ感が得られると言う事でした。
そこから、昨今の家づくりについて
少し違和感を覚えるのが
性能や省エネばかりを追い求めて
目的を見失っているのではないか?
と問いかけられました。
家を建てる目的は本来
- 幸せ感を得たい
- 心身が楽になる
- 健やかに暮らす
こう言った事のためである。
光熱費削減や省エネルギーは
結果として得られる便益であって
目的ではないはず。
との見識は大きくうなずく事でした。
『高断熱・高気密のその先』のお話で
高断熱・高気密化することにマイナスはほぼ無い
家の中に暖かくて心地よい空間がいつでもある為、
庭などへつながる半戸外に積極的に出る事ができる。
と言ったお話は普段、高断熱高気密な家に
お住まいの施主様宅を訪れていても感じます。
『家が暖かい為、少しなら薄着のまま出ても
体の芯が冷えることがない。』
こんな感想をよく頂くからです。
そのように外とつながる事で結果的に幸せ感や健康に
暮らして頂ける事に確信を持てたのも大きな収穫です。
最後にネイティブ・アメリカンの有名な言葉として
『地球は先祖から譲り受けたものではない。
子孫から借りているのだ』
から引用されて、
原発の問題など自分達の世代で好き放題して
将来の子供たちに負の遺産を押し付けて本当に良いのか。
と強く問いかけられていたのが印象的でした。
ご自身で実践されてきたことや結果を交えながら
単に答えとして自分の意見を述べて押し付けるわけでもなく
参加者に考える機会を提供されている点も素晴らしい講演会でした。
原発の問題は本当に待ったなしで
すでに手遅れとの意見もあります。
しかし、私達が少しでも未来のためになる事に
取り組んでいく事が大事だと再認識しました。
私達ができる事は本当に小さなことで
社会全体で見るとほとんど意味がないと
考えるのではなく
一人一人の取り組みが
積み重なって全体に影響を与えていると言う
認識を大事にしていきます。
長くなりましたが、私の備忘録としても
残しておきます。