COLUMN

Q1.0(キューワン)住宅とは

Q1.0(キューワン)住宅の定義は?

新住協Q1.0住宅HP
詳しい説明はこちらにある通りですが、簡単に言うと冬の全館暖房エネルギーを2021年まで省エネ住宅と言われていた家の半分以下にする住宅のことです。

神戸のQ1.0住宅はどんな家?

日本全体の中で神戸近郊の地域は5~6地域と比較的、温暖な地域区分になります。

地球温暖化の影響もあり、夏の暑さが注目されるイメージがあります。
しかし、実際には一般的な住宅では暖房と冷房で必要な期間はどちらかと言うと暖房の方が長い。(暖房は11月~3月、冷房は7月~9月)

さらに暖房と冷房それぞれの室内と屋外の温度差は暖房時期が10度~17度程度、冷房時期が5度~9度程度と暖房エネルギーの方が大きくなりがち。

室温外気温室温-外気温度差
冬の温度20℃  5℃  15℃
夏の温度27℃ 34℃   7℃

そこで、暖房を減らす事を第一に考えた上で冷房も少なく済む家を目指すのがQ1.0住宅の基本となります。

Q1.0住宅の定義
※新住協HPから引用 https://shinjukyo.gr.jp/tech/q10jutaku/

新住協について

その暖房エネルギーを一般的な2021年までの省エネ住宅(基準住宅)に比べて神戸近郊の5~6地域では40%以下にする住宅をQ1.0住宅と定義されています。
(5・6地域では40~50%の住宅を準Q1.0住宅と位置付けています)

Q1.0住宅を実現する為に大事な事

暖房エネルギーを減らす為にはまず家の断熱性を高めて、外の冷たい空気が家に入ってこないようにする事が第一です。
そこで大事な指標として断熱性を表すUA値と気密性を表すC値を高めることになります。

1.高断熱高気密な住宅にするだけでは片手落ち

ただ断熱性(UA値)と気密性(C値)の性能を高めれば省エネかと言うとそうとは限りません。
高断熱高気密な住宅は確かに外の気温に影響を受けにくく、冬は暖めた熱を逃がさず、夏は外の熱い空気が室内を暑くするのを防いでくれます。

ただ、太陽からの直射の熱は冬には室内を暖めるのに貢献してくれ、夏は室内を暑くしてしまいます。
そこで窓の配置や大きさ、ガラスの種類や日射を遮る手段の検討などを行って、室内の環境をより良くなるように計画を行う必要があります。

2.換気や気密性、日射熱や室内発生熱も考慮

他にも気密性と換気による熱の出入り、人体や電化製品等からの室内発生熱も大きな影響を与えますので、それも加味した計算を行う事で初めて省エネになるかどうかが判断できます。

そんな複雑な計算を行う為にQPEXと言うソフトで検討して、より省エネに暮らせる家を提案できると考えています。

基本的には南側の窓を大きく計画して、冬の日射取得を最大限活用して、夏は庇や他の日射遮蔽を考える事が大事です。

日射シミュレーション

簡単なようですが、一筋縄ではいきません。

実際には住まい手の生活スタイルや使い勝手を考えたり、敷地と道路や近隣の環境によって目線を考えながら、開く方向を考える必要があります。
その為に窓の配置や大きさ、ガラスの種類など様々な要素の組み合わせを考え抜いて、提案する事が大事です。

3.コストを掛けずに省エネを実現

せっかく家の性能を高めるなら、省エネを実現してこそ長期間、安心して電気代も気にせず、快適な暮らしを実現できるのではないでしょうか。
また少しでも普及させるためにはコストをかけずに効率よく高性能化することも大事だと考えられています。
そのための省エネ計算であり、シミュレーションをすることで無駄な部分に費用を掛けず、効率のよい省エネが実現できます。

Q1.0住宅を建てる

弊社では現在、基準住宅の50%以下の準Q1.0住宅を最低限満たす事を必須として、それ以上を基本としています。
今までQ1.0住宅のレベル1から3までの実績があり、実測データなども蓄積してきました。

その上でこの地域で建てる場合にコストパフォーマンスを考慮して、最適なレベルのご提案を行っています。

また暮らし方も含めたアドバイスも行っておりますが、これは入居後のお付き合いがあってこそであり、ご家族によって冷暖房の仕方を変えた方が良い場合がある為です。

そんなデータの検証とコストパフォーマンスを考えると現在、最もお薦めできるQ1.0住宅のレベルは2~3になります。

Q1.0住宅レベル2計算結果

Q1.0住宅レベル2~3を実現する為には壁の付加断熱が必須になるのですが、付加断熱があるかないかで体感が大きく変わる事も実体験としてあります。

これは建ててみないとわかりませんし、実際に暮らしている家に訪問してみないとわからない事です。
そこには数値以上の快適性があり、同じ室温でも体感は大きく異なります。

暖房エネルギーだけを考えるとレベル3の一択なのですが、冷房エネルギーと夏の室内環境を考えた時にそのバランスをどう取るかが大事だと考えています。

快適さと省エネ性を生み出す上で、もう一つ大事な事が暖冷房計画になりますが、それはまた別のコラムでご紹介したいと思います。