最近、家づくり相談会にご参加の方で勉強をされてからお越し下さる方が増えました。
特にインターネットでの情報やyoutubeでいろんな方の発信をご覧頂く事も多いようです。
ただ、いろんな情報に触れて、混乱気味の方もいらっしゃいます。
それは当然の話でご自身に判断する知識や基準がないのに一方的な情報を受け取ってもそれが正しいか間違っているかを判断しようがありません。
そこでまずお伝えしているのは情報を発信している方の属性を見て下さいと言う事です。
基本的に情報を発信するのは何らかの目的があって行います。
ユーチューバーなら広告収入や認知度アップが目的でより過激なタイトルや内容で関心を引き付けようとします。
住宅の情報を発信している場合は住宅会社や設計事務所であれば、自分達が信じている事や有利になる情報が含まれる事は間違いなくあります。
この時に注意が必要なのはそうやって自分が探して得た情報に対して唯一無二の物だと信じ切ってしまう事です。
さらにタチが悪い情報発信もありますが、あまり表だって書いてトラブルになるのも何ですので、気になる方はコソッと聞いて下さい(笑)
では、これから家づくりについて勉強したいと思う方は何で学べば良いかと言いますと
やはり書籍で知識を得て頂くのが良いと思います。
それも住宅会社や設計事務所の方の著書ではなく、出来る限り学識者でわかりやすく書かれた本がベストと言えます。
その方が断片的で偏った情報ではなく、網羅的にまとめられている本があり、より幅が広く全般的な知識を得られるためです。
特に最近、省エネについての質問や関心が高い方が増えている為、ここではエコハウスについての本を紹介させて頂きます。
まず1冊目は『ぜんぶ絵でわかる7エコハウス』です。
この本は実務者から見ても素晴らしい内容と思います。
今まで私達が時間を掛けて勉強してきたエコハウスに関する知識を網羅していると言っても過言ではない内容です。
実際の設計ではより深く掘り下げて考える必要がありますが、この本の内容を知って、高い水準で実践出来れば、快適なエコハウスは間違いなく実現できると言えます。
もちろん実際の設計では省エネ性の事だけを考えて計画するわけではない為、全てを満たす事が出来ない事がほとんどですが、敷地条件やデザインや耐震性、暮らしやすさやコストや住まい手のご要望など、いろんな要素の最適解を考えますが、その際にも大変役に立つ内容です。
私達、実務者は新住協や自律循環型住宅の設計ガイドライン、BISや空調設計などでさらに詳しく学んでそれを日々の設計の中で活かすようにしていますが、エコハウスについて本当にバランスの良い内容だと思います。
2冊目は『エコハウスのウソ2』です。
家の省エネだけでなく、もっと広い範囲でいろんな角度から解説された本。
例えば、エコハウスの社会的な意味や健康面、太陽光発電やエネルギーコストの話、人の性質や暮らし方からエアコンの使い方まで幅広くエコハウスについて記述されています。
一般の方や住宅業界の常識や勘違いについて根拠を示して、喝破する内容はさすがとしか言いようがありません。
省エネの義務化に向けて、国に対して意見を述べられてきた著者の本だけあって、根拠や膨大なデータからわかりやすくまとめられています。
より詳しく概念的な内容なども学びたい方は『エコハウスのウソ』も合わせて読んで頂くと良いと思います。
どちらの本も教職の立場の方が現場に近い所で実測や研究をされた結果を反映されている為、とても信憑性が高く、実務者にも役に立つ内容だと思います。
いずれにしても少しでも快適で省エネなエコハウスを建てたいと思われている方は読んでおいて損はないと言い切れる本です。
そして、これらの本を読んで知識を付けて頂く事でエコハウスに興味のない住宅会社や営業マンに騙されないようにして頂きたいです。
『グラスウールはカビが生えるからこの断熱材が一番です』
『木造住宅だと気密性が経年で下がるから気密性を高めてもあまり意味がない』
『現在はZEH(ゼロエネ住宅)が最高で、ZEHの家を建てるのが理想ですよ』
このようなセールストークに騙される事もないですし、そんな営業マンの話を聞いても無意味だとわかるようになると思います。
また、本当のエコハウスを建てた後にその家で暮らす際に気を付ける事や考えておく事もある程度わかります。
さらに高断熱なエコハウスを建てた後の暮らし方について詳しくお知りになりたい方は
「省エネ性能に優れた断熱性の高い住宅を住みこなす住まい方ガイド」をご覧頂くと参考になると思います。
そんな本当のエコハウスを建てて、ぜひ暮らしを楽しんで頂ければと思います。