素材について
オーブルホームの計画する住宅において厳選した素材の選定は大事な要素の一つです。 (ここで言う素材というのは構造材から仕上げ材まで含めたものです。)
そこで私たちがどのような基準で素材を選び、ご提案しているかをご紹介したいと思います。
大前提として、身体に有害な化学物質を発生させる塩ビ製品を室内に出来るだけ使わないようにしています。
住む人の健康を第一に考え、また時間が経つほどに風合いのある空間になるように、木などの自然素材を積極的に採用した家づくりをご提案しています。
自然素材には健康への配慮、環境への配慮、デザイン性、耐久性、経年変化による味わい、本物の質感などさまざまな良さがあると思います。
それ以上に、自然素材を取り入れた空間に身を置くと、心が安らぎ、くつろぎ感が得られる事が自然素材の最大の良さだと私達は考えています。
ただ、自然素材には扱いづらいこともあります。例えば、木という素材はどうしても収縮を起こすため、割れや反りが発生することがあり、使っていく上でメンテナンスが必要になってきます。
そのメンテナンスの考え方ですが、私たちは『メンテナンスが必要ない』というものではなく、手を加えることによって長持ちする『メンテナンスをすることができる』という点を重視しています。
(メンテナンスフリーを謳う素材の多くは数年間、メンテナンスをしなくても綺麗で掃除も楽と言う事をメリットに挙げていますが、裏返すと10年以上経つと経年劣化でみすぼらしくなり、取り換えるしかない物が大半です。)
そして素材を選択する基準として次のような点を設けています。
- デザイン
- 健康への影響
- 耐久性
- メンテナンス性
- 経年変化
- コスト
- 心地よさ
- 機能性
正直なところ、これら全ての要素が素晴らしいと言えるものはありません。
どの素材にも長所や短所は多かれ少なかれあります。
その為、選択している素材はこれらのバランスを考えて、根拠を持って選んでいます。
あるときはデザイン性を重視し、あるときは耐久性を重視して、ときにはコストを一番に考えて選ぶこともあります。
それは使う場所によって重視される要素は違ってくると考えていますので当然、そこに合った優先順位で素材も選んでいます。
さらに一つの素材でもたくさんの商品があり、一般の方がそれらを吟味してどれが良いか選ぶのはとても困難だと思います。
それを私たちが代わって吟味して、自信を持ってお薦めできるものだけを選んでご提案しております。
メンテナンス期間やコストを考えた屋根や外壁の仕上げと組合せ、設計上の工夫は建てる時の流行りで決めるのではなく、長い期間使われて実証されている物や考え方を踏襲すべきと考えています。
そんな素材や考え方を基本仕様として設定
屋根
- ガルバリウム鋼板(SGL鋼板)
- 陶器瓦
- ファイバーグラスシングル
外壁
- 無機質系塗材吹付け(モルタル下地)
- 無垢板張り
- ガルバリウム鋼板(SGL鋼板)
- 火山灰塗り壁
- タイル,レンガ張り
玄関ドア
- 木製断熱玄関ドア
サッシ
- 樹脂サッシ
- 木製サッシ
玄関土間仕上げ
- タイル張り
- 石張り
- モルタル塗り
- 洗い出し
内装天井
- 壁紙+塗装
- 無垢板張り
床
- 無垢,3層フローリング
- タイル,石張り
- 畳
- リノリウム
内装壁
- 壁紙+塗装
- 漆喰,珪藻土塗り壁
- 無垢板張り
- タイル,石張り
建具
- 輸入建具
- ハイドア
- 造作建具
階段
- 無垢幅ハギ材
カウンター材
- 無垢幅ハギ材
建造作収納・造作家具具
キッチン
- 木製造作キッチン
- 木製システムキッチン
洗面化粧台
- 造作洗面化粧台
浴室
- システムバス
- ハーフユニットバス
トイレ
- 手洗いカウンター
- カウンター収納
ディテールについて
ディテールとはその名の通り細部と言う意味です。特に素材と素材がぶつかり合う部分の納まりのことを建築ではディテールと呼んでいます。そしてそんなディテールの積み重ねで全体の空間が出来上がります。
私たちが考える「良いディテール」は空間全体を見た時に「何か違和感がある」と思わない、もっと言うと何も気づかずに自然と受け入れられる空間になっているのが理想です。
ですので、「変に主張しすぎるところはないか?」「あの空間に入ったときに馴染むか?」といったことを常に考えながら素材や納まりを考えています。
(本当に良い建築は一般の方が「ここが良い」と褒めるようなものではなく、どこかがすごいというわけではないけど、その空間にいると心地良いと感じられてずっと居たいと思える事だと私は思っています。)
その為に「そろえるものはそろえる」「隠せるものは隠す」「付けなくて良いものは極力付けない」と言ったことを意識しています。
ただ将来の事を考えて、あえて付けるものもあります。
例えば、壁の角部分に取り付ける木のコーナー部材はすっきりとしたデザインにするには付けたくない部材です。
ただ壁で最も傷つきやすい角は保護してあげる事で補修がしやすく、綺麗な状態を簡単に保つことができます。
完成時だけを考えると必要のない部材ですし、手間もコストも掛かりますが、長く心地よい暮らしをして頂く為には必要だと考えると省けない部材です。
また普段、触れるところや視界に入るところにはお気に入りのものを使ったり、飾れるような工夫をしてメリハリを付けることも大事だと考えています。
さらに、あらゆるものの寸法について検討した上で決めていく必要があります。
大げさではなく、細かい寸法ひとつで見え方が変わってしまうこともあるため、数ミリ単位の調整が必要になることもあり、時には現場で確認して決めるほど神経質になってしまうのがディテールなのです。